スポンサーリンク

欧州のランサムウェア対策組織、復号ツールを無料提供

ITニュース

欧州警察機構(ユーロポール)は12月15日、官民が連携するランサムウェア(身代金要求型マルウェア)対策プロジェクト「No More Ransom」(NMR)に、民間と公共セクターから新しく30以上のパートナーが加わったと発表しました。

人質に取られた被害者のデータを取り戻すための無料ツールの提供を増やし、より多くの被害者救済するためだそうです。

NMRはユーロポルとオランダ国家警察、Intel Security、Kaspersky Labが創設メンバーとなって2016年7月に設立。Webサイトを通じてランサムウェアに関する情報や、被害者のデータにかけられた暗号を解除する無料複合ツールなどを提供しています。

新たにセキュリティ企業のBitdefender、Check Point Software Technologies、Emsisoft、Trend Microの4社が「Associate Partner」として参加し、復号ツール32本を提供した。これまでNMRでは8本の無料ツールを提供して約6000人が身代金を払わずにデータを取り戻すことに成功したとしており、復号ツールが一挙に増えたことで被害者救済が進む見通しだそうです。

オーストリアやクロアチア、オランダ、シンガポールなどの国家警察のほか、各国のサイバー犯罪対策機関やセキュリティ企業が「Supporting Partner」として加入し、NMRの参加国は22カ国に増加し、各国が連携してランサムウェアに対する対策を強化する方針です。

スポンサーリンク

ランサムウェアに身代金を払う企業は7割

日本IBMは米国で実施したランサムウェア(身代金要求型マルウェア)の被害実態に関する調査結果を発表しました。それによれば、米国企業の70%がマルウェアの要求に応じて金銭を支払っていたことが分かり、被害額では1万~4万ドルが多くを占めていたそうです。

調査は、IBMのセキュリティ研究機関「X-Force」が実施したもの。600人の企業幹部と1000人以上の消費者にアンケートしたものです。

それによると、約半数の企業がランサムウェア攻撃を経験し、このうち70%が事業データやシステムへ再びアクセスするために身代金を支払ったと答えた。支払った企業の被害額では、半数が1万ドル(約118万円)以上になり、さらにこのうちの20%は4万ドル(約472万円)以上を支払ったと回答した。

回答企業全体の約6割は、データを取り戻すために身代金を支払うとし、25%はデータの種類によっては2万ドル~5万ドルなら払ってもいいと答えた。

 また、ランサムウェア攻撃の経験を規模別でみた場合、経験したという小規模企業は29%、中規模企業では57%だった。しかしIBMは、小規模企業が攻撃経験が少ないとはいえ、従業員へのセキュリティ研修の実施率は中規模企業より低いことから、油断すべきではないと指摘する。

また、消費者は半分以上が身代金を支払わないと答えたものの、子供がいる家族の写真データでは55%、金融データについては54%が身代金を支払うかもしれないと回答した。