総務省の新政策「差別的な対応」とAppleは猛反発しているようだ

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随分前になるが、総務省が「通信料金と端末代金の完全分離」や「囲い込みの是正」に規制をしようとしてました。
その電気通信事業法の省令案等に関する意見募集の結果と、それに対する総務省に対する考えを発表したわけですが、Appleは反対のようです。

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政策の主な事柄

電気通信事業法の改正法は主に以下にメスを入れようとしてます。

  • 通信料金と端末代金の完全分離
  • 行きすぎた囲い込みの是正
  • 違約金の額の上限
  • 期間拘束の有無による料金差の上限

など、です。

ちなみに、私たち消費者の料金などに関係してくる話なので知っておくべきことです。

ピンとこない方のために各、事柄がどのように変わるのか簡単に説明します。

通信料金と端末代金の完全分離

法律の規定では以下のように変えようとしてます。

  • 端末を販売等する際の通信料金を端末を販売等しない場合よりも有利にすることを禁止
  • 通信役務の利用者に対する端末の販売等に際しての一定の利益の提供を(2万円(税抜)を超えるものを禁止)

となります。

端末代金の値引き等により利用者を誘引する手法を限定的なものとすることで、通信・端末の各市場での競争を促進し、事業者による端末代金の値引き等を前提としない端末市場の競争を促すことが目的となってます。

今ある月々サポートのようなものが、上限2万円(税抜)までになるというわけです。

ちなみに、現在の市場では一人当たりの利益見込み額は約3万円なので、それより厳しいものになる。

また、端末については、0円以下とならない範囲で利益の提供可としてます。在庫端末については、最終調達日から24か月経過で半額までの範囲で利益の提供可。ただし、製造が中止されたものは、最終調達日から12か月経過で半額まで、24か月で8割までの範囲で利益の提供可としてます。

簡単に説明すると、2年経てば端末は半額で売ることができる。製造中止モデルは最終調達日から1年で半額、2年経てば8割引きで売るということ。

私たちからすると、今のような割引(上限がない割引)でのスマホ購入は不可能になるということになるります・・・・最新のiPhoneなど高スペックで高額な端末は10万円を超えるので月々の支払額が増える可能性は大!!

というか増えるでしょうね。

行きすぎた囲い込みの是正

法律の規定では以下のように変えようとしてます。

  • 通信契約の解除を行うことを不当に妨げることにより電気通信事業者間の適正な競争関係を阻害するおそれがあるものとして総務省令で定める提供条件を禁止
契約期間の上限 2年(違約金の定めがない場合を除く)
違約金の額の上限 1,000円(税抜)
期間拘束のない契約の提供 1年を超える又は更新可能な期間拘束契約を提供する場合、期間拘束のない契約も選択
肢として提供しなければならない
期間拘束の有無による料金差の上限 170円/月(税抜)
自動更新 次の①~④のいずれかを満たさない自動更新を伴う契約を禁止
① 契約締結時において、契約期間満了時※に期間拘束を伴う契約で更新するどうかを利用者が選択で
きること。
② ①の選択によらず料金その他の提供条件が同一であること。
③ 契約期間満了時において、期間拘束を伴う契約で更新するかどうかを利用者が改めて選択できること。
④ 違約金なく契約を解除可能な更新期間が少なくとも契約期間の最終月、その翌月及び翌々月の3か
月間設けられていること。
長期利用割引等の条件 利益の提供の範囲=1か月分の料金(税抜)/年

上限は2年が残るようなので、2年縛りはこれからもありそうです。しかし、後でも触れますが、「期間拘束の有無による料金差の上限」が月170円となるので、2年縛りだからといって、そこまで安くはならない。

「長期利用割引等の条件」も1か月分の料金(税抜)/年なるようで、今までのような長くつかってもあまりメリットがないということはなさそうです。

違約金の額の上限

上の表にも出てきましたが、違約金の上限を1000円にしようとしています。

理由としては、キャリアを移動する場合、MNP手数料や移行先事業者の新規事務手数料が必要になります。このような移行に係るスイッチングコストを下げることで、事業者間の競争を促進させようというのが目的になります。

私たちからすれば、移行しやすくなるので、メリットとしては大きい。現状は2年毎にキャリアを移動するのが一番、通信費と端末代を抑えれるがそれはできなくなる。

個人的には上限1000円は賛成です。

なぜなら、私の場合、ドコモからmineoへ移行しました。ちょうど違約金のかからないタイミングでMNPしたので違約金はかかってませんが、ここでもし、mineoへ移行したが、不満があって戻りたいと思った場合。mineoの違約金が発生してしまいます。

ちなみにmineoの違約金は「ご利用開始月の翌月から12カ月以内にMNP転出時契約解除料10,260円(税込)とMNP転出手数料2,160円(税込)がかかる。

期間拘束の有無による料金差の上限

期間拘束の有無による料金差の上限: 170円/月に変えようとしています。

これも、個人的には賛成です。

170円/月ってのはどこから来たかというと、違約金の水準(1,000円)とが均衡するように料金差の
上限を設定すると170円/月になるそうです。

ちなみに、現在の期間拘束による通信料金の差は、2社は月1500円、1社は月2700円です。
期間拘束の有無による料金差 1,000円と仮定して割ることの6か月で 約170円という計算なわけです。

現状、3キャリアの違約金は9500円、拘束期間の有無に通信料金の差は(2社は月1500円、1社は月2700円)になっている。2年以内に移行しようとすると9500円の違約金が発生するが、縛りがない契約(違約金が発生しない)だと、だいたい6ヶ月以内に移行すれば、違約金を払った場合よりもトータルの通信料金は安く収まります。

※違約金が9,500円に対し、期間拘束の有無による料金差が月1,500円であるため、9,500÷1,500>6か月となる。

ここでまた、なぜ6か月なのかというと、民間のアンケートで事業者の乗換えを検討している利用者の55.3%が1年以内での乗換えを検討している。ため、6か月以内に事業者や通信契約の見直す利用者にとって期間拘束のない契約が選択肢になるようにするためだそうです。

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なぜAppleは反対してるの?

前置きが長くなりましたが、これについてNTTドコモと楽天モバイルは、「公正な競争を促進する」「モバイル市場全体が活性化する」との理由で、省令案全体に賛成の意向を示している。

強く反対しているのが、Appleです。

Appleの見解としては、

「さまざまな要望を持つユーザーに対し、多種多様な製品と価格帯のモデル(iPhone)を用意しており、健全な市場では、さまざまな選択肢があることが重要」と考える。しかし、改正法が施行されると「競争の抑制につながり、日本のユーザーに対して、さらに高い価格で今より少ない選択肢という状況をもたらす」

と述べている。

上記のようなことは品のいい言い方の建前で、実際はiPhoneが売れなくなることを懸念しているにすぎない。

Appleとしては、「iPhone XS」「iPhone XS Max」といったフラグシップモデルは10万円超えが当たり前、iPhone XS Maxだと512GBモデルを割引なしで購入しようとすると164,800円(税別)になります。現状のようなキャリアの上限のない端末購入補助端末返却を条件に残債を半額免除する施策ができなくなり、割引上限額2万円となれば、確実にハイエンド端末の売れ行きは鈍る。

さらに、在庫端末に設けられた特例がネックになる。

端末値引きは2万円までが基本ですが、在庫端末については、最終調達日から24カ月までは半額までの割引ができる。また製造が中止された端末については、最終調達日から12カ月たてば半額まで、24カ月たてば8割までの割引ができるというところ、10万円の端末が最大5万円から8万円の割引になる。

Appleは旧世代の端末iPhone7や8もまだ販売している。キャリアも取り扱いしている。これら旧世代のiPhoneが5~8割引きで購入できるとなれば、新世代iPhoneではなく旧世代iPhoneを選ぶ人が多くなる可能性が高い。端末は旧世代でも、iOSはまだサポートしているので、最新OSにはできますからね。

日本のAndroidはメーカーがアップデートをしなければ、それまでですけども・・・過去に私はAndroidで痛い目みましたよ。長く使おうと思ったけど、OSアップデートできないんだもん・・・

そして、AppleのiPhone、実は世界でもっとも購入しているのが日本なんですよね。最近やっとAndroidと半々ぐらいになってきたところですが、海外だとまだ圧倒的にAndroidがシェアを持っている。Appleのあるアメリカですらシェアは2013年頃は35%ほどで、2018年頃からようやくシェアをAndroidから奪っているような状態です。

理由はさまざまあるが、海外だとAndroid端末は驚くほど安い。逆に日本のAndroidは日本特有のお財布機能などで割高になっている。

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Appleに対して差別的?

Appleに対して「差別的な影響を与えかねない」

とも述べている。

どういうことかというと、

Appleより「在庫を大量に抱えるメーカーに恩恵をもたらす一方で、高品質の製品のみを提供する企業には損害を与え、消費者をより低い性能の製品へと誘導しかねない」「メーカーは割引ができるよう、意図的に製造と中止をすることを推奨しているように見える」

ということらしい。

総務省はこれに対して、

意図的に在庫を発生させて値引きを行わせないよう、24カ月を確保した上で半額までの割引を可能としている」「製造が中止された端末は、意図的に在庫を発生させる可能性が低い」ことから「一定の妥当性がある」

と反論している。

まぁ2年も寝かされたらね。新しい端末次々でますしね・・・

また、総務省は以下のことも述べている。

「通信契約とセットではなく端末単体で販売する場合の割引や、メーカーによる割引については、制限を設けていない」

ようするに、Apple自身が端末値引きして売る分には誰も文句は言わんよということですね・・・

結局どうなる携帯料金

さて、結局のところ、携帯料金はどうなるのでしょうかね・・・

安くなるのか高くなるのか・・・

個人的な意見になりますが、端末の割引が基本的に上限が2万円までとなれば、分割払いだとしても月々の支払額は上乗せされるわけで、通信料は今のような3キャリア談合のような料金のままであれば、実質値上げになることは確実です。

そして、今のように新しい端末を2年毎に変えていくようなこともできなくなると思われる。
まぁ10万円もするような端末をコロコロ変えてる今が異常なような気もしますがね・・・

ただ、違約金が1000円となれば、安く打ち出してきたところに移行しやすくはなるので、悪い話ばかりではないはず。

また、キャリアとしても顧客を増やそうとするはずなので規制のないところと抱き合わせで、私たち消費者を縛ってくる可能性があります。
例えば、

  • クレジットカード契約するなら安くなる
  • ネット回線もセットなら安くなる
  • 固定電話を契約すれば安くなる

ようなことをしてくるかもしれない・・・

ただ一言、言わせてもらいたい。

それより先にSIMロックした端末売るのやめてくれねーかな!!

 

参考資料:報道資料(総務省)