Appleが新たな戦略に打って出ようとしている。著名アナリストのMing-Chi Kuo氏(TF International Securities)が6月30日にX(旧Twitter)で明かしたところによると、同社はiPhone用プロセッサーを搭載した低価格MacBookの開発を進めているという。
http://x.com/i/article/1939556066532249600— 郭明錤 (Ming-Chi Kuo) (@mingchikuo) June 30, 2025
新MacBookの詳細スペック
この新しいMacBookは、以下のような仕様になる見込みだ。
・ディスプレイ:約13インチ
・プロセッサー:iPhone 16 Proと同じA18 Pro
・量産開始時期:2025年第4四半期〜2026年第1四半期
・カラーバリエーション:標準のシルバーに加え、ピンクやイエローも検討
Appleは2026年の出荷台数として500万〜700万台を目標に設定しているとされる。
A18 Proの実力は?
A18 ProチップはMシリーズと比較すると性能面で劣るものの、注目すべきは2020年に登場したM1チップと同等の処理能力を持つことだ。これは日常的な作業—文書作成、ウェブブラウジング、動画視聴、軽い画像編集など—には十分すぎる性能と言える。
さらに重要なのは、A18 ProがAppleのAI機能群「Apple Intelligence」をサポートすることだ。これにより、より多くのユーザーがAI機能を活用できるようになる。
ちなみに参考までに、M1チップは、Core i7-1185G7、第11世代のi7程度の処理能力がある、グラフィック性能ではM1チップの方が上です。
なので、2020年に登場したM1チップだが、全然現役で使える物です。
PC市場での戦略的意味
現在のMac市場を見ると、2024年の出荷データでは、
MacBook Pro:53%
MacBook Air:33%
MacBookシリーズは確実に人気を獲得している一方で、世界PC市場におけるAppleのシェアは9.2%にとどまっている。レノボ、HP、Dellといった競合他社が上位を占めているのは、幅広い製品ラインアップと法人向け販売の強さによるものだ。
市場への影響と可能性
この低価格MacBookが実現すれば、複数の重要な変化が期待できる。
価格敏感層への訴求
現行MacBookよりも手頃な価格設定により、これまでWindowsマシンを選んでいた価格重視のユーザーにもmacOSの体験を提供できる。
AI普及の加速
Apple Intelligenceをサポートするデバイスが低価格帯に登場することで、より多くのユーザーがAI機能を日常的に利用するようになる可能性がある。
市場シェア拡大
特に教育市場や個人ユーザー向けセグメントで、Appleの存在感を高めることができるだろう。
Windowsでも、低スペック系のノートPCなどは5万円台からあったりもするので、もし、低価格帯での市場参入ができれば、シェアを増やす可能性は高い。
まとめ
iPhoneで培った高性能プロセッサー技術をMacBookに応用するこの戦略は、Appleにとって新たな市場開拓の機会となりそうだ。A18 Proという「十分な性能」を「手頃な価格」で提供することで、これまでApple製品に手が届かなかった層にもmacOSエコシステムの扉を開くことになる。
正式発表はまだだが、2025年後半から2026年前半の動向に注目が集まる。Appleがどのような価格設定で勝負に出るか、そして既存のMacBookラインアップとの差別化をどう図るかが鍵となりそうだ。