「カガクでネガイをカナエル会社」が炎上中です。
ことの発端は、このツイート↓
4月23日までさかのぼる・・・
会社の対応がひどいと炎上し始めます。
ここでは、炎上中のカネカから日本企業の体質について話したいと思います。
炎上までの流れのまとめ
ことの発端は先のツイート、名指しこそしていないが、「カガクでネガイをカナエル会社」という会社のキャッチコピーをハッシュタグとして使ったため、化学メーカー大手の「カネカ」のことだと受け止められ、同社への批判が殺到したわけです。
夫婦は40代の共働きで、今年1月に生まれた長女の育児のため、それぞれ育児休暇を取得
夫が復帰したのは4月22日。住宅を購入し、4月中旬に新居に引っ越したばかり
上の息子はやっと入った保育園の慣らし保育2週目で、下の子も入園の予定は決まっており、妻が正社員の仕事復帰予定であった。
要点を簡単にまとめると、
育児休暇明け2日後、関西へ転勤の辞令
↓
家を建て入居したばかりで、転勤時期の先延ばしを相談するも受け入れられない。
結局、退職することになる
↓
その際、有給の使用すら認められない。
そして、専業主夫に
「パピ_育休5月復帰」さんのツイートから見るとこんな感じですね。
真意はツイートのみなので定かではないが、Twitter界隈でカネカへのバッシングが高まった。
主な意見としては、「こんな見せしめのような古い気質があるとはね…」「立派なハラスメント案件だよ」「これ本当なら会社としてヤバイね」「カガクでネガイをカナエル前にシャインのネガイをカナエてくれ」「有給消化させないのは明らかな法律違反。あと退職日を会社が指示するのも違反」などなど。
妻の投稿には4万を超える「いいね」が付き、一連の投稿が見られた回数は累計500万回を超えたと見られる。
明日は我が身、決して他人の話ではない
大手だけではなく、転勤を伴う会社に勤めている方は、決して他人事ではない。
一連の流れで批判は高まっているが、有給を取得させないのは違法ではあるが、転勤辞令については、専門家も「違法性はない」との見解で一致している。
そう、育休明けや仮に病気で入院し退院後であったとしても、従業員に転勤の辞令を出すことは違法ではないのです。
ここが、明日は我が身で決して他人事ではないところ。
なぜ炎上した
違法性はないものの、「転勤を利用した嫌がらせ=ハラスメント」と認識されたからだと思う。
女性に対し妊娠や育児を理由に嫌がらせをする「マタニティハラスメント」に加えて、育児休暇を取る男性などに嫌がらせや差別的発言をする「パタニティ(父性)ハラスメント」と捉えられてもおかしくはない状況が炎上させている。
ネットの掲示板などでも話題になっており、中にはハラスメントだけじゃなく、「家を買ったからじゃね」と言う人が多々見受けられる。
「家を買う=だいたいの人はローンを組む」=「お金が必要=会社を辞めない」=「無茶な人事を押し通す」といった流れがあるようです。
カネカだけではなくこのような、無茶で理不尽な人事を社員の足元を見て行う会社は多い。
労働局もあてにはならない
「パピ_育休5月復帰」さんもただ黙って会社に従ったわけではない。
が、あまり効果はなさそうな感じになっている。紛争状態にならないと動かないようなところはなくなればいいのに・・・
多少は改善されるのだろうか・・・・
なぜ夫側が育休を取ったのだろうか
男性の育児休暇取得率は年々上昇していはいるもののまだ5%ほどです。
※2017年度のデータ
正直日本では、まだまだ、男性の育児休暇取得を好ましく思っていない会社が多い。
カネカは上場もしている大手です。
大手企業と言えば、勝手な偏見ではあるが、「男性が育児休暇を取ること自体、好ましく思わない」古い体質を持っていそうな気がします。
「パピ_育休5月復帰」さん自身も勤めている会社の体質はわかっていると思う。
個人的に、会社の体質がわかっていたなら私なら育休はとらないかもしれないと思った。
しかし、どうやら、会社が推奨していたようだ・・・
会社が推奨しておきながら、取得後は手のひら返すという、会社側のしょうもない実績作りに利用されてしまっているように感じる。
カネカのワークライフバランスは嘘?
カネカのウェブサイト。ワークライフバランスなどのページが6月3日時点で削除されている。
ツイッター上では、カネカが騒動後に、自社のウェブサイトから育児休業制度などを含むワークライフバランスのページを削除したと話題になった。
この指摘については、日経ビジネスのインタービューで、「全くの誤解。ウェブサイトのリニューアルで当該ページを削除したのであって、今回の件を受けて削除したものではない」と反論している。
まぁ、苦し紛れの言い訳でしかないが、
確かに、6/5時点でHPはリニューアルされている。しかし、ワークライフバランスなどのページは見当たらない。
カネカはどうなる
このことが原因かわからないが株価は下がった。6/5時点では多少戻りつつあるが・・・
SNSが普及した現代で、こうした、社員を「物」のように扱う企業はSNSですぐに拡散され悪評が立つ。
違法性がないとしても、影響は大きい。
そして、今回炎上している時期も悪い。
6月末には株主総会も控えており、突っ込まれることが予想できる。
また、6月は新卒の就活解禁でもある。
楽天が運営している「みん就」就活日記の「カネカ」の掲示板は6000件を超える書き込みがされている。
21卒のインターンも始まっている中でイメージダウンは優秀な人材の確保を逃すでしょう。
SNSが自浄作用として働く
正直、今回のようなことは、大手企業だけではなく中小企業でも日常茶飯事。
私自身も、このような事例を見たりしてきた。そして、あまり問題視もされず、うやむやのまま当事者が退職し事態が終息していく・・・
しかし、SNSが普及した現代で、SNSが自浄作用として働き、大手メディアなども取り上げ、社会にメスが入ろうとしていることはいいことだと思います。
日経ビジネスに「パピ_育休5月復帰」さんがインタービューに答えています。
火に油を注ぐ
2019年6月3日
社員各位
社長
昨日6月2日より、SNS上に当社に関連すると思われる書き込みが多数なされていますが、正確性に欠ける内容です。
育児休業休職直後に転勤の内示を行ったということはありますが、これは育児休業休職取得に対する見せしめといったものではありません。
十分な意思疎通ができておらず、着任の仕方等、転勤の具体的な進め方について当該社員に誤解を生じさせたことは配慮不足であったと認識しております。
春の労使協議会でも述べたとおり、「社員は最も重要なステークホルダー」であります。
今回のような行き違いを二度と発生させない様、再発防止に努めます。
以上
カネカの角倉護社長から社員宛てに、今回の炎上に関するメールが出された。
複数の同社社員が認めており、本物であるようです。
それにても、メールまで流出するほど、内部でも不振に思われているようす。
そんでもって、日経ビジネスからカネカIR・広報部に対して、以下の問い合わせをしているもよう。
- SNSは「正確性に欠ける内容」との指摘があるが、具体的にどの投稿を指しているのか
- カネカでは育休復帰、即転勤の辞令は「パタニティハラスメント」に当たるのか否か
- 「十分な意思疎通ができなかった」とは誰と誰のどのようなコミュニケーションを指しているのか、
- カネカは本件で第三者を含めた調査委員会を立ち上げる意思があるか
- 「再発防止策」はどういったプロセスでいつまとまるのか
まだ回答は得られていないようですが・・・・
回答されましたね。
カネカが回答する
日経ビジネスが質問していたことに対して、カネカが回答している。そして、回答はやはりずれているのではないかと私は思う。
1.SNSは「正確性に欠ける内容」との指摘に対する回答
社長メールの中に「正確性に欠ける内容」という言葉があった、具体的には何を指していたのか。
細かな事実関係についてコメントさせていただくと元社員の方の個人的な情報にも及ぶこととなるため差し控えさせて頂きます。「転勤の内示が育児休業休職(以下育休とします)取得に対する見せしめである」とされていますが、転勤の内示は、育休に対する見せしめではありません。
という回答だった。
見せしめではないとのことだが、子供が生まれたばかりで、また、家を購入したばかりの社員に対して、転勤の内示がでることは、「カガクでネガイをカナエル会社」がやることなのだろうか。
経営する側からすれば、いち社員のことをかまってられない、また、特別扱いできないというのはわからなくもないが、少なくとも、子供が小さいうちは、転勤に配慮してあげるなどしてもいいのではないですか?それが、働き方改革じゃないの?と疑問を持つ。
2.カネカでは育休復帰、即転勤の辞令は「パタニティハラスメント」に当たるのか否かに対する回答
当社においては、会社全体の人員とそれぞれの社員のなすべき仕事の観点から転勤制度を運用しています。育児や介護などの家庭の事情を抱えているということでは社員の多くがあてはまりますので、育休をとった社員だけを特別扱いすることはできません。したがって、結果的に転勤の内示が育休明けになることもあり、このこと自体が問題ではあるとは認識しておりません。もちろん、育休明けのケースに限らず、社員の家庭的事情等に応じて、着任前後も休暇や出張を柔軟に認めて転勤前の自宅に帰って対応することを容易にするなどの配慮をしております。
なお、本件では、転勤の社内判断は育休前の段階でほぼ決定されていましたが、内示直前に育休を取られたために育休明け直後に内示をすることとなってしまったものです。
との回答をしている。
育休前から転勤の判断されること自体が配慮に欠けると思ってします。政府からは働き方改革を推進され、会社としても、実績作りのためとはいえ、育児休暇取得を推奨しておきながら、育休明けたら、はい転勤、
社員の家庭的事情等に応じて、着任前後も休暇や出張を柔軟に認めて転勤前の自宅に帰って対応することを容易にするなどの配慮をしております。
どこが配慮しているのだろうか・・・
現に有給すら取得させてないではないか。
3.「十分な意思疎通ができなかった」とは誰と誰のどのようなコミュニケーションを指しているのかに対する回答
転勤に関して、当社の元社員と上司との間では、着任日についてのやり取りがもっぱらとなっていました。転勤に関しての種々のアレンジについては人事部から伝えていたものの、着任日等をやり取りしていた上司との間ではこれらのアレンジについての意思疎通がないまま、元社員の方から退職の意思が明らかにされました。そのため元社員の方は転勤に関しての種々のアレンジについて誤解したままとなってしまったものと思います
待て待て、話は4月のことで、GW明けに退職する旨を伝えているわけで、それからも時間はあったはずなのに、なぜ、人事部は着任日などの説明を再度行わないの?元社員が退職の意思を示したから説明するのも面倒ってことですか?
ただの言い訳のようにしか聞こえないのは私だけか?
4.カネカは本件で第三者を含めた調査委員会を立ち上げる意思があるかの対する回答
6月2日より弁護士を入れて調査を行っています。
どう考えても、人事部と上司が無能でしょうに・・・
問題を長期化させてうやむやにする気ではないだろうかね。
5.「再発防止策」はどういったプロセスでいつまとまるのかに対する回答
意思疎通が不十分であったことについては、再度同様の事態が生じないよう社内で指示しております。今後とも、2番目の質問に対する回答で述べたような方針で会社の要請と社員の事情を調整して社員のワークライフバランスを実現してまいります。
体のいい御託を並べるね。としか感じない、具体策はまだなしってことですよね。
カネカHPに問題を掲載
カネカHPのトップには「当社元社員ご家族によるSNSへの書き込みについて」の文章が掲載されている。
1.と2.についてはもはや語るまい・・・・
私が問題だと思うのは3.の項目にある文章だ。
育児や介護などの家庭の事情を抱えているということでは社員の多くがあてはまりますので、育休をとった社員だけを特別扱いすることはできません。したがって、結果的に転勤の内示が育休明けになることもあり、このこと自体が問題であるとは認識しておりません。
日経ビジネスに回答した、「社員のワークライフバランスを実現してまいります。」はどこにいったの?
特別扱いしろとは言わないが、配慮してあげてもいいじゃないの?
しかもこのこと自体は問題があると認識していないということは、現在勤めている方、またはこれから勤める方は育休明けだろうとも転勤させられる可能性があるといっているわけですから、少子化で若手が少なくなっていく時代に若手からは犬猿されると思いますけど、それでいいってことですかね?
4.についてもいろいろ突っ込みたくなるが、もう言うだけ無駄な感じなので語らない。
5.の以下の文に疑問をもってしまう。
元社員の勤務状況に照らし移動させることが必要
あたかも、元社員が素行不良のような言い草だ。やはり問題の根本がわかってないような気がする。
また、言い訳感が私は嫌いだった。
本件での内示から発令までの期間は4月23日から5月16日までの3週間であり、通常よりも長いものでした。 また、着任日を延ばして欲しいとの希望がありましたが、元社員の勤務状況に照らし希望を受け入れるとけじめなく着任が遅れると判断して希望は受け入れませんでした。 着任後に出張を認めるなど柔軟に対応しようと元社員の上司は考えていましたが、連休明けの5月7日に、退職日を5月31日とする退職願が提出されたため、この後は、転勤についてはやり取りがなされませんでした。
通常より長い期間とったにも関わらず、「着任前後も休暇や出張を柔軟に認めて転勤前の自宅に帰って対応」の説明はしなかったわけですか?
で、「元社員の勤務状況に照らし希望を受け入れるとけじめなく着任が遅れると判断して希望は受け入れませんでした」って何?はなっから、配慮する気なんてないよね?
ようするに、転勤の内示を受け入れて、ささっと、転勤先に着任していれば、着任後に出張とか考えてあげてもよかったけど、退職願がだされたから、話は終わりでじゃやめてくださいなってことでしょ。
そんでもって、有給の取得については一切ふれてないが、それはどうなってるの?
余談
会社で理不尽なことがあり、SNSにアップすることは、最悪、名誉棄損で訴えられる可能性もあります。特に、会社名を出したり、上司の名や写真を出すなど・・・
また、自分の意見に賛同してくれる人もいれば、逆に自身を批判してくる人が出てくる可能性もあります。そうなれば、自身が炎上してネット上にさらされる危険性もありますので、SNSの利用はよく考えてから行ったほうがいいでしょうね。