ハーバード大学関連の「VITAL試験」をご存知だろうか?
老化抑制に関する最新の研究結果が発表されたわけですが、特定のビタミンが老化を遅らせる可能性が見えてきた。
鍵はビタミンD
最新の研究結果でビタミンDがテロメアの短縮を抑制し、生物学的年齢の進行を平均3年程度遅らせる効果が示された。
テロメアとは
テロメアはDNA配列とタンパク質で構成され、染色体の末端を保護する「キャップ」の役割を果たしている。細胞分裂でDNAがコピーされるたびに短くなっていくため、テロメアの長さが細胞の生物学的年齢を示す有効な指標とされている。
被験者の総数は2万5871人で、そのうち55歳以上の女性および50歳以上の男性の約1000人が今回のテロメア分析の対象にしている。
ビタミンDのサプリメントを摂取したグループでは、プラセボを摂取したグループに比べて、テロメアの短縮が有意に抑えられていたことが2年ごとの測定によって判明したそうです。
ただし、
「テロメアの長さには年齢ごとに一定のばらつきがあり、わずかな増減が生物学的に意味を持つとは限りません。qPCR(定量PCR/ポリメラーゼ連鎖反)の再現性や信頼性、サンプルの保存温度などの条件による感度変化など、今回の研究には多くの課題が残ります」
とも述べられています。
また、被験者の多くが白人であった点も疑問視されています。
ちなみに、
2024年現在、「アメリカ内分泌学会(Endocrine Society)」は、「75歳以上の一般集団においては、死亡リスクの低下が期待されるため、ビタミンDの補給を経験的にも推奨する」としている。
ビタミンDをとればいいって話ではない
こういう話を聞くと、やたらとビタミンDのサプリをとる人がいたりするので、注意喚起として、ビタミンDの過剰摂取による副作用があることを書いておく。
高カルシウム血症(高カルシウム血症)
ビタミンDはカルシウムの吸収を促進するため、過剰摂取すると血中のカルシウム濃度が異常に上昇します。
症状:吐き気、嘔吐、食欲不振、便秘、腹痛、筋力低下、混乱、脱水、頻尿 など。
腎機能障害
長期間の高カルシウム血症は、腎結石や腎臓への負担を引き起こし、腎不全に至ることもあります。
心血管系への影響
血管や心臓にカルシウムが沈着することで、動脈硬化や不整脈などのリスクが高まる可能性があります。
安全な摂取量の目安(成人)
一般的な**上限摂取量(耐容上限量)**は
1日あたり4000 IU(100 µg) とされています(厚生労働省や海外機関のガイドラインによる)。
通常の食事や適度なサプリメント摂取で過剰になることは少ないですが、高用量のサプリメントを長期にわたって摂取する場合は注意が必要です。
ビタミンDを含む食品は?
サプリメントでも簡単に摂取できますが、体内で吸収されやすい形のビタミンDを摂取することをオススメします。
動物性食品(ビタミンD₃が中心)
食品名 | 含有量(μg/100g) | 特徴 |
---|---|---|
鮭(サケ) | 約33 | 加熱してもビタミンDが比較的安定 |
いわし(丸干し) | 約18 | 丸ごと食べるので効率よく摂取可 |
さんま(焼き) | 約16 | 秋の旬の魚、脂が多くビタミンD豊富 |
さば(水煮缶) | 約8〜12 | 手軽に摂れる |
鰻(うなぎの蒲焼き) | 約19 | 高栄養だがカロリーも高め |
卵黄 | 約2 | 毎日の摂取源として優秀(白身には含まれない) |
植物性食品(ビタミンD₂を含む)
食品名 | 含有量(μg/100g) | 特徴 |
---|---|---|
きくらげ(乾燥) | 約85 | 最も高含有(ただし乾燥状態) |
しいたけ(乾燥) | 約12〜18 | 日光に当てるとビタミンDが増える |
まいたけ | 約4〜5 | 加熱しても比較的安定 |
その他・強化食品
食品名 | 備考 |
---|---|
ビタミンD強化牛乳 | 製品によって添加量に違いあり |
ビタミンD強化シリアル | 朝食向け、欧米では一般的 |
サプリメント | 必要に応じて使用、摂りすぎに注意 |
ちなみに、豆知識として、皮膚が紫外線(UV-B)を浴びることで、体内でもビタミンDが合成されます。
外出が少ない人や日焼け止めを常用する人は食品やサプリからの摂取がより重要です。
参照元:Newsweeks